大山の家

「弘前W邸:墨付け」

弘前W邸、建築地では基礎工事が完了。こちらの加工場では、墨付けが盛んだ。この現場を束ねるのは、鳥谷部棟梁。当社加工場のある、青森県五戸町の出身で、勿論当社の大工だ。丁寧な仕事をしてくれるので、「是非、鳥谷部棟梁で」と、大工自身に客が付いてくるのも、当社の大きな特徴と言える。私の設計では、東北のこの地で良く見られるような日本家屋を担当して貰う事が多い。

鳥谷部棟梁

鳥谷部棟梁

墨を付けているのは、昨年ご紹介した施主奥様の実家から伐られた杉だ。自然乾燥しただけあり、色艶が自然で、とても綺麗だ。80年生に満たないものもあるので目は粗いのだが、赤身の部分はとても綺麗で、柱や梁など、可能な限り見せていくように納めていく。年功の経った木を手配するのも可能だが、敢えてこの家は施主の木を最大限に生かした家にしたい。そういう思いを棟梁に伝えた。

ケヤキ

ケヤキ

杉ばかりではない、赤松とケヤキも使う。在庫のケヤキを整理し、6寸角ほどに柱がとれるケヤキを社長が「使うか」と、譲ってくれた。これ以外にも檜も向ける。この事を施主の御主人にメールでお知らせしたら、即座に喜びの返事が返ってきた。こういう事も木の家にこそある喜び、嬉しさである。

墨付けが終わった材

墨付けが終わった材

墨付けも大分進んできたので、今日あたりから刻みの手配に入る。来月の彼岸明けには、現場に乗り込みたい。何より施主に、この木が建つ処を早くに見せたい。はやる気持ちを抑えながらも、材料の加工に入る。ぐっと抑えた階高に太い柱が見える建築。雪を被り雪解けを待つ基礎と、熱気に包まれている木材加工場。どちらも一つの現場である。

(設計:黒坂)