今年を振り返るには、まだ少し早いが、東京から北海道までと、今年も遠方への出張が多かった年である。そんな中でも念願叶った一つが、青森県金木町にある「斜陽館」を見学できた事である。作家、太宰治の生家と言えば分るだろうか。丁度、今年が生誕100年だそうである。見学に訪れた時も、多くの見学者であふれていた。
数作品は中学の頃に読んだが、見学に行ったついでに本も購入。先日公開をしていた映画「ヴィヨンの妻」などを読み、「人間失格」などはこれから読むところだ。この正月休みには、読み切ろうと思っている。今から70~80年程前の時代背景を思い描きながら読む。現代小説に慣れた身には、理解も難しいところもあるが、斜陽館に展示されていた遺稿や、写真などを思い描きながら読むと、作者が身近に感じられる。
斜陽館の一室の、友人らが来たときに通したという一室の襖が破れて、下紙が見えていた。万年筆で書かれた横文字が見える。誰が書いたか不明であるが、これを太宰も見ていたのかと思うと感慨深い。冒頭に北海道と書いたが、縁あって北海道でも仕事をすることになりそうだ。先日、社長とともに青函トンネルを通り函館までJRで行ってきた。函館というと、新撰組副長、土方歳三が戦死した地でもある。この新撰組、中でも土方歳三という人間に惹かれるものがあり、彼が書かれた本を集めていた。子母澤寛(しぼさわ かん)の新撰組三部作を古本屋で見付けた時は、飛び上がって喜んだほどだ。
折角の出張仕事でもあるので、来年は建築だけでなしに、そういった話題も取り上げていこうと思っている。
(設計:黒坂)