大山の家

「㈱大山建工の大工衆の仕事-3」

調査完了後に解体に入るが、壁を壊す処も出てくるので、綿密に補強位置を決めながら、解体の計画に入る。解体と言っても、この建物を壊す訳ではなく、床の解体、壁をほぐす。

外壁解体状況

外壁解体状況

先回の外観写真も振り返って頂きたいが、現在の建物のようにコンクリート製の基礎など無い。全て石の上に柱が建てられている。

根石

根石

現代の木造建築は、茶室や東屋以外は鉄筋コンクリート製の基礎の上に建てるよう規制されている。強固な基礎の上に木構造を作る考え方である。対して当時の建築は、木材の特性である外力に対する粘りを生かし、上部の靭性を持った構造体で地震に耐えるように作られていた。その許容度を超えた時に、石から柱がずれて、建物の損壊を最小限に留めようというものである。

蹴込板解体

蹴込板解体

それと、ご覧のように空気が自由に行き渡る。高温多湿の日本で、木という材料を長らえさえるために工夫そのものであろう。これもビニールで建物を包み、機械換気装置で空気を動かす現在の建築とは大きく異なる。

床解体状況

床解体状況

現在の住宅、特に寒冷地では高い断熱性能と気密性能が求められる。それ故の装置や断熱層の形成も大切な事であるので、何も現代建築を否定するものではない。以前にも書いたが、真冬に蓄熱暖房の効果で薄着で生活出来てしまう。環境を克服するという、その根本を考えさせられる。

外側から

外側から

工事は始まった。350年前の仕事があらわれてくる。

(黒坂)