大山の家

「O邸 上棟」

1階から、2階そして屋根と序々に姿をあらわしてくる。幾度かの変遷を経て決まったプロポーションだ。施主にすれば、紙面の上の2次元のものが、初めて立体として見えた瞬間である。

建て方

建て方

シンプルな切妻屋根(きりづまやね)で、1階の屋根を2階の壁に差し込む形だ。ここの屋根を、赤松の梁が空間を支える。何度も言うが、この組み上げている時点で仕上げ材であるので、作業には十分な注意を要する。

屋根ルーフィング

屋根ルーフィング

図面を書く立場として、この完成形が頭の中に描かれた処で、図面の作成に入るが、これが実際と相違ないか、細かなバランスなどとても気になる瞬間でもある。これから窓サッシなどが付いていき、次第に顔を表してくる。正直、この家は私の自由にさせて貰ったところもある。それだけに思い入れもあり、緊張も増す。

集成材が多様される昨今の住宅業界にあって、ここは無垢の杉や松の節と木目が美しい。

(設計:黒坂)