大山の家

建築士の日

なんと建築士の日がありました。
先日、とあるクイズ番組を機になんとなく「〇〇の日」を調べてみたところ、「建築士の日(7月1日)」に出会いました。

1950年(昭和25年)7月1日に「建築士法」が施行され、それに基づいて1987年(昭和62年)の同日に日本建築士連合会が制定していました。
地域社会の健全な発展と安全で快適な暮らしを提供するために欠かせない建築士の質と地位を向上させること、建築士の社会的な意義を広くPRすること、建築士の意識を再確認することを目的に定められたようです。
1987年とは、かなり前に制定されていたんですね。

この基となっている「建築士法」とは、1950年(昭和25年)5月24日に公布されています。田中角栄氏が筆頭提案者として提出し、成立した議員立法です。
以前日本では大工さんなどの職人さんが建築物の設計や工事監理の役割を担っていました。そのため設計施工一貫方式が建築工事の主流でした。社会的慣習として建築物の設計・工事監理などを行う技術者の資格を定めて、その業務の適正をはかり、建築物の質の向上に寄与させることを目的として定められた法律になります。
この「建築士法」で謳われている免許が建築士になります。

ここで「建築士」の他に「建築家」と「設計士」って聞くけど同じでしょ?と思われた方もいるのではないでしょうか。違いはというと。

●建築士とは・・・?
国家資格である「一級建築士」、「二級建築士」、「木造建築士」を取得した人のことをいいます。
それぞれの建築士は「建築士の名称を用いて、建築物に関し、設計、工事監理その他の業務を行う者をいう」と定義されています。建物の設計や工事監理を行う職業のことで、建築に関するさまざまな知識を持っています。資格取得には、建築についての学びと実務経験が必要となり、設計業務、工事監理、行政手続きの代理、鑑定評価、指導監督など、建築士でなければ行えない業務が多数存在します。

●建築家とは・・・?
国家資格の有無にかかわらず、自ら名乗ることが可能です。
あくまで呼称であり職業名ではありません。なので、誰でも「(自称)建築家」になれます。
ただ、建築士法第34条1項において「建築士でない者は、建築士又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。」と定められてはいますので、資格なく「建築家」を名乗る時はご注意ください。
ではなぜ建築士でありながら建築家と紹介される方がいるのか?と疑問が湧いた方もいるのではないでしょうか。
テレビや雑誌などで建築家と紹介されている方々を拝見すると、その人ならではの独自の世界観があり、オリジナリティ溢れる建築物(作品)を手掛けている(意匠、構造、設備等の設計業務がありますが、意匠設計に長けている)方が多いように思います。(あくまでも個人的な意見です。)

●設計士とは・・・?
設計を業務として行っている方々の総称になります。
「設計士」という言葉に明確な定義はなく、資格も必要ありません。
建設業界では、建築士の資格を持っていてもいなくても設計や設計補助業務に携わっている方を呼んでいます。
また、建材やその他のメーカー、自動車や飛行機、多岐にわたる機械など、建設系だけでなく工学系の設計に携わっている方、他にも多くの分野で設計という業務に携わっている方々も「設計士」と呼ばれています。


《 ここで豆知識⑩! 》
「一級建築士」の資格を持っていると建築のことなら何でも知っていると思っている方がいます。
もちろんすべての知識を持っている方もいると思いますが、自分が得意とする分野や業務を主として他の分野や業務については広く浅い知識という方が多いのが実情です。
お医者さんを思い浮かべていただけると近いと思うのですが、一つにまとめると「医師」ですが、外科医・内科医・皮膚科医など多くの専門分野があり、各々得意とする分野の知識は豊富でも専門外だと医学書を調べてみたり、専門分野の方を紹介したりすることがあると思います。それと同じで 「一級建築士」 といっても意匠・構造・設備などの分野があり、それぞれの得意分野があります。さらにその分野の中で細かく分かれてもいます。
例えば、一言で意匠設計と言っても個人住宅、集合住宅、専門施設、公共施設など多岐に渡ります。
また住宅に焦点をあてると、木造・軽量鉄骨造・鉄骨造・RC造・独自で開発した構造など、それぞれの構造体によって得手不得手があります。
また、一級建築士を持っていても知識や経験が浅い方もいますし、二級建築士でも多くの知識や経験を持った優秀な方もいます。なので、ご自身が計画されている建物とそれに携わっている建築士さんの得意とすることが合っているのか、希望とする内容ににきちんと耳を傾け形にしてくれているのか、新たな提案などアドバイスをしてくれるのかを見極めながら計画を進めていけば、納得のいく建物を造る近道になるのではないかと思います。さらに、いい施工をしてくれる方々と出会えたならば、満足度は急上昇するのではないでしょうか。(かねた)