大山の家

「舞良戸」

「まいらど」と読む。字だけではお分かりにならないだろうが、下の写真の建具の事である。格子戸もそうであるが、この舞良戸も杉で造る。好きな建具の一つだ。

物置の引違い戸として

物置の引違い戸として

とてもシンプルな構成であるが、シンプルなだけに各部のミリ単位の寸法抑制の繊細さが求められる。框の大きさ、舞良桟の寸法、面の取り方、これらで全く違う雰囲気を醸すのであるから不思議だ。

下駄箱

下駄箱

この舞良桟の断面だけでも、大きくは4種ほど。「甲丸面:半円の断面を持つもの」、「兜布面(ときんめん):五角形の断面、切妻屋根の家の形の断面」「かまぼこ面:断面が蒲鉾形のもの」「切り面:真四角の断面」、これに前述の框の寸法や桟の割り付けを組み合わせ、その室と用途にあった建具として作っていく。

腰舞良付硝子戸

腰舞良付硝子戸

掲載したものは、全て「かまぼこ面」だ。ともすれば無骨になりがちな意匠であるが、繊細な柔らかさを持っていないだろうか。腰舞良付硝子戸の場合、上部ガラスの桟の寸法によっても、また意匠が変わってくる。基本のモジュールはあるが、その建物に即した意匠に造る。シンプルであるからこそ、細やかさが求められるもの、日本の美とはそういうものなのだろうか。

(設計:黒坂)