建具を紹介したい。下の写真のような格子戸にガラスが入っているものを造る事がある。格子の持つ柔らかく隔てる感じが何とも好きで、完全に遮断したくない時には、杉を素材に作っている。この杉の木目もなんとも心地よい。建具の四方の枠(框:かまち)に格子が付いている。洋風ドアなどを見るとガラス周囲に付け子といって、ガラスを嵌めて落ちないように留縁が付いている。ところが、この建具にはそれがない、しかしガラスは入っている。
![e6a0bce5ad90e688b8 ガラス入り格子戸](/wp/wp-content/uploads/e6a0bce5ad90e688b8.jpg)
ガラス入り格子戸
どうやってガラスを入れているかというと、下の写真。お分かりになるだろうか?これは建具を真上から見た写真である。このように上の框にガラス厚分の空隙を設けて、上からガラスを落とし込む。こうする事で、格子両面に付け子を付けることなく、スッキリと収める事が出来る。
![e6a0bce5ad90e688b8e4b88ae3818be38289 真上から見ると](/wp/wp-content/uploads/e6a0bce5ad90e688b8e4b88ae3818be38289.jpg)
真上から見ると
ついでに建具職人の鉋(かんな)。普段、鉋だけでもこれだけ持って歩く。建具枠が付いたら採寸し制作する。制作したものを現場で合わせて、また持って帰ってガラスを入れる。入れたものを持ってきて、さらに敷居鴨居に合わせ、すべりを見ながら調整する。本当に職人の仕事だ。
![e3818be38293e381aa1 鉋箱](/wp/wp-content/uploads/e3818be38293e381aa1.jpg)
鉋箱
既成のものより高価にはなるが、その見えざる仕事を分って頂きたい。時を経るごとに味わいが増し、自分のものになっていく。それが手造りであると信じる。
(設計:黒坂)