大山の家

「赤松を板材で」

このブログをご覧の方は、当社が赤松を多く使っている事はご存じの事と思う。構造材の梁としての赤松は以前紹介したので、造作材としての紹介を少し。

赤松地板

赤松地板

これは地板と言う。和室の付書院の板となる。溝が見えるが、ここに障子が入る事になる。とても奇麗な杢目だ。板の外側に柾目が見え、中に板目様の目が見えるものを中杢というが、相当の太身(年数)がないと、こういった目は出てこない。普通なら木材屋に注文して必要材寸に加工されたものを取り付けるので、気に入った杢目になる事が少ないが、丸太を扱っていると、好きな目がとれる。と言っても、私などは丸太を見て目を想像するなどまだまだ無理だが、当社の棟梁はその辺が良く分かっている、それ故の仕事だ。

継ぎ目を揃えないように

継ぎ目を揃えないように

これは床板に赤松を張っている様子。ご覧のように幅も長さも違うものを組み合わせる。だいたい幅は4種類ほど、長さはそれこそ全部違う。木を無駄にしないため、そしてその部屋をどう魅せるか。これで使うものを選り分けていく。

仮ならべ

仮ならべ

写真の部屋は節を全く見せない室。板に挽いて節の部分でブツブツと切っていくので、このように長さがマチマチとなる。規格品の定型の処で継ぎ目が出るとたちまち目につくが、こうやって目地を違えると言われないと気付かない程、自然なものとなる。ただ造る手間はかかる。材料を見て色が違うものをはじきがら、仮に3列ほど並べて目地が揃わないように並べ直してから、張っていく。これを延々繰り返す。

柿渋で色付けした例

柿渋で色付けした例

「普通の3倍は手間がかかるよ」とは大工の言。高い材料を使えば建物が良く見えるのでない。こういった見えない処の積み重ねで、建築は造られていく。あくまで人の手になるものの積み重ねだ。

(設計:黒坂)