私の実家は40年前に建てられたものだが、これに縁側があった。当時の記憶をたどると、大抵どこの家にも座敷に縁側があったように思う。その縁側で夏は窓を開け放してスイカを食べ、冬は窓を閉めて日向ぼっこをしていたものだ。
今でも、この内とも外とも付かない空間がとても好きである。最近は、和室も老人室や客間としての使われ方が多く、それに付随すべき縁側がない家が多い。当社の常設展示場や、青森展示場にはこの内と外を繋ぐ、縁側の機能を持つ空間がとられている。これが実に好評で、見学され図面依頼を受けた方の殆どが欲しいとおっしゃる。靴のまま来客者もお茶を頂けるし、庭との一体感、バーベキューなどへのサービス、自分の趣味に活かされるのも良いだろう。何も日本間付きにこだわる必要もない。
「縁」という字も面白い。「縁がある」と、繋がる意味もあれば、「ふち」と読んで場を限る意味もある。外との境界でありながら、外との一体感を持つ役割を持つ縁側。機械設備に傾倒するより、大事なものがそこに在るように思います。
(設計:黒坂)