八戸市田向(たむかい)の「技が支える木の住まい」外構工事もあと少しだ。
詳細図を基に施工図をあげ、現場で石の寸法で割りながら墨を出した。石割は上手く出来た。ただ搬入された石の加工で、細かなディティールの部分が要望した内容と違うものが現場に入っていた。
施主の要望であったのだが、これがこれまで積み上げてきた意匠に適うかがとても心配であった。私自身、都合でここの処、現場に行けていないので尚更である。
「割肌も、池の周りだけの方が重みが出ましたが、まあ充分な展開が構築できたよう、うまくいったね!」とのお返事。ほっと胸をなでおろした。ついで、残りの植栽についての細かな指示が届いたので、早速手配する。それは追って報告したい。
人に近い処に水を活かす。それは自然の摂理に逆らわずに作っていく。せせらぎの深さも、そよそよと手じかにあってこそのせせらぎで、ミリ単位の精度を要求されていた。せせらぎの落とし口も同じ。落差は音も伴う。静謐を求める処と、奏でる処。何気な自然に学ぶ事は多い。
決して「和」に拘泥することなく、モダンにまとめ、その中に「和」が醸される。そんな建築であるからこそ、水を伴う意匠は難しい。良いとは言ってもらえたが、反省すべき事を思い返す。水ものとはよく言ったものだ。
(設計:黒坂)