大山の家

技が支える木の住まい「左官編」

八戸市田向(たむかい)の木の住まい、内覧会の最中であるが、左官職の紹介を。

一般の方には目にする機会が少ない職方ではないだろうか。外部の外壁の塗り壁と、内部の塗り壁の仕事を紹介する。この現場には戸舘(とだて)左官工業に入って貰っている。この左官屋さんとも長い付き合いだ。そういった当社の現場には必ずお願いする。

外部下地塗り

外部下地塗り

左官も実に奥が深い。私も何度か試して見た事があるが、とても職人のようにスッとコテを引けない。ましてや平滑に仕上るなど素人では不可能なのが分かる。また、材料の調合も重要で、その日の天候を見て水引き具合を考慮しながら練っていく。

和室壁仕上げ塗り

和室壁仕上げ塗り

今は製品の塗り材が主であるが、茶室などの土壁となると本当に困難な仕事となる。本物の職人でなければ手が出せない。機会があれば京都や伊勢の建物を見て欲しい。平滑な壁仕上げに左官職人の凄さが分かる。

和室チリ廻りの処理

和室チリ廻りの処理

写真の職人は上野さん。4年前に私と共に神奈川県横浜市の現場を納めてくれた。家の内部殆どが塗り壁で、且つその現場では石工事もやってくれた。設計と現場監督を任されていた当時、貸家を借りてそこで寝食を共にした。苦楽を共にしたからこそ、こちらの意図を自然に汲んでくれるようになる。こういった職人の仕事、職人が活きる建築を共に造っていきたい。心よりそう思う。

(設計:黒坂)