大山の家

弘前W邸再訪

20121030-104850-8264

玄関ポーチ

先日、久し振りにアフターを兼ねて弘前市のW邸を来訪。

電話やメールでは時折連絡し合っていたが、お会い出来たのはご主人とは1年振り、奥様とは3年振りであった。ご夫妻とも変わらずに、でも子供さんお二人の成長には驚き、下の子がまだ小学生からのお付き合いが今は二人ともに高校生で、自分の子供とそう言えば同級生であったのを思い出し、そんな当時の思い出話しなどに花を咲かせた。

奥様が植物がお好きで数多くの種類を育てている。室内からの眺めも意図して植えていて、ヒメリンゴなど鉢植えのリンゴの実が成っていた。玄関先に大判のタイルを敷いた。これは私のわがままを通して頂いたものであるが、門と木塀に囲まれたこの空間が好きで、アプローチ以外での用途にもお使いであり、当初の設計意図が上手く使われている事に殊のほか嬉しくなった。

玄関先に壺を置いて植物とメダカのビオトープとしていて、丁度私もこの春からメダカを飼育していたので、そんな話しでも盛り上がった。

 

20100806-151543-7952

リビング(テレビは本棚兼用の引戸に隠れる)

リビングとダイニングはセパレートされ、キッチンも独立した平面計画である。リビングにはソファーを置き、客間としての和室はあるが、親しい友人はリビングに通す。背中合わせのダイニングには手作りのケヤキの大きなテーブルを置く。6人が余裕で座る事ができ、隣家の庭を借景とするそこは家族が集う家の中心となっている。

リビングにテレビがあるがテレビは敢えて観る時にしか行かず、普段はダイニングで過ごすとのこと。テレビ中心の普段ではなく、家族の会話や顔を合わせる事、テーブルがその中心になる事を想定し、寝室と子供室がある2階から階段を下りてくると、真正面にそのテーブルがあり、その視線の先に借景となる庭が広がるようにレイアウトしていたが、意図したように家をお使いになっている事に喜びを感じるのも設計者冥利であろうか。

 

20100806-151543-7880

奥様の特等席

 

「子供が乱暴に扱うから傷が多いんですよ」とご主人。見れば確かに壁の塗り壁に傷があったりするが気になるほどではなく、落ち着いて余裕が出来たら上塗りすると綺麗になる事を教え、当面は大丈夫である事を伝える。

家は家族の生活を内包し、その成長や感情を受け止める事で、家も家族と共に成長するのだなと実感もする。

とても大事に住まわれている事に、感謝という言葉が浮かんでくる。5年、その歳月を掛けてご家族と打合せを重ね、作りながらも細かな打合せを重ねて仕上げた家は、紛れもなくW邸ご家族のための家である。

「各自が居心地の良い場所にしていく楽しみも期待してやみません」とは、お引き渡し後の奥様の言葉。

家はそういうものなのだなと、改めて勉強させられた。

 

設計:黒坂