大山の家

「木使い」と「気遣い」

八戸市田向地区に建築中の「木組の家」の進行を少し。

見学会も無事終了し、完成へ向けて大工もフル稼働である。この日は、朝日の入り具合を見たくて、日曜の朝に一人現場に行ってみた。間仕切り壁がまだであるが、心地よい朝日が降り注いでいる。「良い家だな~」この進工具合で既にそう思える。

リビング吹抜け

リビング吹抜け

この吹抜けの天井に杉の板を張った。パッチワークのように色が様々であるが、実はこれ屋根の下地に使う野地板を加工したものである。良く見れば、幅や高さがそれぞれに違う事に気付かれるだろう。目地もわざと違えるように板を張っていく。目地を揃えると、途端に目に付いてしまい、このような空間にならない。柱の白太(しらた)と赤身の目の通りなど、実に細かい気遣いで、この大きな空間が出来ているのである。

子供室より吹抜けを望む

子供室より吹抜けを望む

また、こういう使い方をすれば材料も無駄にならない。以前にも書いたが、ただ木を使えば良いというものでない。こういった処に端的に現れていると思う。5年もすればこの板も色が揃ってくるだろう。色付けの手法もあったが、この家は自然に任せる。生活と共に味わいも深くなる、これこそが木の家である。

(設計:黒坂)