大山の家

意匠と構造

実施設計図が届いた。A2サイズで18枚。フリーハンドのパースを含むそれらの詳細設計図は全て手書きである。その書込みの精緻さには下を巻く。私は10年前よりCADで作図するようになったが、それでも住宅の実施設計図は正味10日は掛る。

左がバルコニー、右がキャットウォーク

左がバルコニー、右がキャットウォーク

そんな図面の中で、どうしても私の理解を超える部分があった。上の写真がそうであるのだが、一見とてもシンプルな部分である。左が外のバルコニー、右が内部のキャットウォークとなる。これを更に難しくしているのが写真上方向になるが、これが通し柱となっている。文面だけだと理解しづらいが、この通し柱に胴差を差込み、この腕木をサンドイッチしながら上に押さえの梁が載る。仕組みとしては頭に思い描けるが、私の頭の中では腕木が固定出来ずにいた。

大工とは凄い人達である、現場ではピタリと納まっている。それでも、ここに建て方初日の一日を費やした。この49坪の建物で、通し柱が10本。それぞれに太さが違い、それぞれに高さも違う。梁も組んでいくものであるから高さが違う。角材もあれば丸太も組まれる。大変な現場であることは、都度寸法確認を請う大工の顔から伺い知れる。だが、やる気に満ちている。木組の家、人の心もまた組まれていく。

内部から(中央の柱が、通し柱)

内部から(中央の柱が、通し柱)

いよいよ明日、明後日(28日・1日)の2日間、構造見学会の開催です。仕上がるにつれ見えなくなる処も余す所無くご覧下さいませ。お待ちしております。

(設計:黒坂)