大山の家

薄く魅せる

八戸市田向・木組の家の進捗を少し。現在、屋根の野地板が終わり、屋根仕舞いの最中である。この家はガルバリウム鋼板で段葺きとした。写真を見てお分かりになるだろうか、平らに折り重なるのではなく、一段毎に段を付けて納めている。こうする事で、安価な材料のものでもそうは見えなくなる。一手間を掛ける事で建物は見違えるものと思う。

段葺の様子

段葺の様子

軒先を是非ご覧頂きたい。破風(はふう)というが、軒先の垂木木口を隠す鼻隠し板である。通常は、屋根に直角か、外壁と同じ垂直に取り付ける。しかし、この家では写真のように少し寝かせている。こうする事で正面から見た時に、とても軒先が薄く見える。軒の出は3尺5寸~4尺(1.06m~1.2m)、垂木成が3寸(9㎝)。厚く見せる意匠もあるが、屋根軒先を見せる平入りのこの建物では、一際薄く見せるように設計されている。

軒付

軒付

捨て板を取り付けてからの破風板の取付、通常の5倍程は手間がかかっている。しかし、この一手間も建物に命を与える。そこだけが際立ってもいけない。繊細に神経を研ぎ澄まし造っていく。本物の職人がいなければこの建物は造れない。その息吹を感じて欲しい。

2月28日(土)と3月1日(日)の2日間、構造見学会が催されます。是非、現場にてご覧頂きたいと思います。

(設計:黒坂)