大山の家

「盛岡K邸:雪景色堪能」

「雪が積もった景色が、これがまた素晴らしいんですよ」と、以前から御主人に伺っていた。前田伸治氏も丁度、盛岡に入る予定があったので時間を合わせ、社長大山、監督の月舘、営業の中村と共に皆でお邪魔した。一年ぶりである。御夫婦、そして子供さんとの再会、もう旧知の仲の様に、それぞれに挨拶を交わした。

引渡しの時はどこかよそよそしかった木肌の色も見事な飴色に落着き、また生活が沁み込んできた、木の風合いがとても心地良いものとなっていた。そして眼前に広がる、一面の銀世界。一同歓声を上げて、しばしその白一色の世界に見入っていた。間口3間(5.4m)吹抜けまで抜ける窓の大きさが意図したものが、ここに活きる。雪国に育つ私達でも、家の中からこれだけの開口部越しに外を眺める事など、そうそうない。この家の立地条件がもたらすものであるが「敷地が持つ利点を最大限に活かす」この事を思い新たにする。

階段からリビング南側の窓を見る

階段からリビング南側の窓を見る

実はこうして、引渡しの後にその後の生活を見る機会は案外少ないものである。作った空間でどういう生活をされているのか、意図した様な使われ方をしているのか、不便を与えていないかなど、色々と気に掛かるものであるが、子供が家の中を走り回り、御夫婦はそれぞれに子供の気配を感じながら、温かく見守っている姿と、子供達も「この家良いよ!気に入ってる!」と小学4年の御長男が言った言葉に、思わず笑みがこぼれた。リビングからキッチンそこから廊下へ出てリビングまで一周するコースを、子供達で掛け廻っている。「こうやって毎日走り廻ってるんですよ」と奥様。家の中も外も、子供達にとっては格好の遊び場で、想像力豊かに遊ぶ姿に、何か大事なものを見た思いがした。

野鳥が多い地で、また自然が好きな御家族でもあるので、庭にバードテーブルや庭木に果物を差していた。伺った時に丁度シジュウカラが餌をついばんでいた。家の中には近くの池から採ってきた小魚を飼育し、子供達が世話しているとの事。私も好きでそうしているが、自然が如何に身近にあるかを知るのも楽しい。

この家で育つ子供達。この子供達には、間違いなくこの家が家の原風景となり、家の記憶として残る。家を作って引渡すだけが仕事ではなく、こうして御家族と繋がり、そして子供達の未来にも影響する家造り。盛岡K邸を通して私自身学ぶ事が多く、またお邪魔する事をとても楽しみにしている。

(黒坂)