八戸市内に建築した「青森杉が活きる家」にて最優秀賞を受賞。昨日、社長と共に授賞式に出席いたしました。三村青森県知事より直接、賞状と記念品を拝領し、温かなお言葉も頂戴出来ました事、心より感謝と御礼を申し上げます。
また実行委員会会長、審査委員長からの審査経緯や各受賞作の評価ポイントも拝聴し、また受賞各社の応募写真パネルも拝見しまして、新たなる視点、また木を活かす工夫など、良い勉強をさせて頂く機会にもなりました。関係各位、そして今回、式に出席出来ませんでした施主ご家族皆様に、心より御礼申し上げます。
「青森杉が活きる家」丸太八角削りの梁で大屋根を支える構造でいこうと詳細図を作成、次いで木の段取りに入る時に社長から「梁は松でいくか、杉でいくか」と問われた。咄嗟に「杉」と答えた一言が、ここに繋がった事に不思議なものを感じる。
これまで丸太で梁と言うと赤松を使ってきた。松の粘りある特性からも、横架材は松材を使ってきたが、以前から屋根勾配なりに登らせる登り梁に杉を使ってみたいと思ってもいた。この住宅では、一階のリビングから二階ホールへ繋がる9mを超える大空間を持ち、図面も途中の敷桁の処で梁を継ぐ形で描いていた。赤松を使う想定であったからである。即座に「杉」と答えたのは、一つに長物が手に入る事、それに松に比べ捻じれる事が少ない事もあった。長くなればなるほど、捻じれた時の動きは大きい。
数日の後「良い木が見付かったよ」との言葉、それも最長で9.7mにも及ぶ一本の丸太の梁である。一階の桁から、これも杉八角削りの桁で途中で支え、そこから更に二階の桁までを一本の梁で登る。二階のホールからはその丸太梁が目の高さにあり、触れる事も出来る高さにしている。この梁が手に入る事が分かり、即座に矩計(かなばかり:建物の高さ)を修正した。材を見て臨機に建築に活かす、地元の木で建てるからこそ出来る事ではないかと確信する。
今回、和室柱廻りは施主の意向でヒバで作り、天井は杉の根太天井とした。他に赤松・栗・落葉松の床板も使っている。大壁の柱も杉である。全て青森県産の木材。元来、木造建築は地場の木で作ってきたものである。その事に、今後も愚直でありたいと思う。
この受賞も当社だけのものではなく、木を提供してくれた林業各社、現場に入ってくれた各職方、当社を後押ししてくれている皆様、そして施主ご家族。皆で喜びを分かち合いたいと思っております。重ねて御礼申し上げます。
審査結果
・最優秀賞(知事賞) ㈱大山建工
・優秀賞(実行委員会会長賞) ㈲岩木建設、㈲山本プランニング一級建築士事務所
・特別賞(実行委員会会長賞) 青森スギで家を建てる中南地域会
(黒坂)