大山の家

「弘前W邸-その後」

久しぶりに、弘前W邸を。

現在、最後の工事となる、植栽を含めた外構工事を一部進めながら、門塀辺りの打合せで、時折弘前に伺っている。今進めている工事が完了した時点で、弘前W邸全工事終了となる。完成の姿は、その折に伝えたい。

私との打合せは、いつもダイニングのテーブルでお願いしている。客間としての和室も備えた家なので、人数の集まる時や、私以外の打合せは、この和室で迎えるのであるが、家の奥にある家族の空間で打合せしている。隣家の借景や、外構工事で既に完了した、リビング外の菜園を眺めながらの打合せは、仕事で挑んでいる本来なのだが、自宅に居るような、心落ち着くものだ。

ダイニング-1

ダイニング-1

ダイニングテーブルは、かなり大きい。2m40㎝×90㎝、6人掛けであるが、寸法ゆえの余裕がある。椅子もケヤキで、施主自らがデザインや座り心地を確かめながら、地元の家具職人に作らせたものだ。この職人にも、製作過程でお会いする事が出来ていなかったのであるが、納品後も不具合を修正してくれたり、しばし様子を見ての補修を教えてくれたりと、心配りも素晴らしい。

さて、このダイニングテーブルでの打合せだが、子供さん方も同じ席に付きながら、本を読んだり宿題をしている事も多い。奥様に伺うと、自然と家族がここに集まって、銘々に過ごしていると言う。普段テレビを見ない家族で、そして読書好きである。御主人の読書、子供達の勉強、おやつに勿論、毎日の食事もここだ。天井に吊るされた照明器具も、地元弘前で製作された、ブナ製の照明器具。廻りを暗く抑え、テーブル上の照度のみを確保するようにしたので、夜の空間も面白い。

ダイニング-2

ダイニング-2

昨年の完成引き渡しの折、丁度、弘前ねぷた祭りで、その勇壮な太鼓の音を聞きながら、最初の晩餐をここで共に出来た事が、昨日の事のように瞼に浮かぶ。

リビング=テレビの間。否定するものでもないが、家族が自然に集まり、お互いの距離を保ちながらも一緒の時を過ごす。意識したいものだと、改めて感じた弘前W邸でした。

(設計:黒坂)