大山の家

「手紙」

昨年夏以来、図面を担当させて頂いていた、岩手県に建つ住宅を契約させて頂いた。八戸のショールームまで見学を兼ねて訪ねて頂き、改めてご挨拶させて頂く。子供さんの用事で、御主人だけ来訪され、急きょ来れなくなった奥様から、お手紙と心からのメッセージを頂戴した。手紙には、御自分方のこれまでに至る過程やお仕事の事、御家族の普段の生活、建築地周辺のこちらに居ては知りえなかった風土など、とても丁寧に綴られていた。文面から滲む御人柄と家族の繋がり。転勤で遠方に居た頃の様子など、今に至る生活が想い起こされる。

手紙

手紙

急きょ訪れる事の出来なくなった由、手書きの手紙に込められた思いを強く受止める。何よりその人を気遣う心にいたく感動し、何度も手紙を読み返し、心熱くする。

これから建築確認や実施設計に入るのであるが、厳しい高さ制限などのある中、階高を抑えた手の届かんばかりの処に構造材がある建築となる。受けた留めたメッセージ、ご家族のこれまでの思いと、これからの生活を、図面の一本の線に込めたい。

(設計:黒坂)