大山の家

「家とは」

盛岡市K邸。完成の形を見る事が出来た。携わった職人衆には、心より感謝申し上げる次第である。私自信は現場に関わる事がなく、自分の仕事に専念していたが、当初の建築確認申請等には、少しだけお手伝いさせて頂いた。

盛岡市の中心部にほど近い新興住宅街。その街区の一番奥に建つ建築である。驚くべきは建ペイ率30%。敷地面積に対して、建築面積を30%以下にしなければならず、第一種低層住居専用地域でもあるので北側斜線も迫り、風致地区指定による緑化面積の制限や、景観条例区域による材質や色の制限などなど。良好な住環境を確保するためだと云う厳しい制限の中での、建築でもあった。良好な住環境の割に、写真をご覧になって電柱が気になるのは、私だけでは無いと思うが。

壁の表情

壁の表情

道路に対しては閉じたような印象を持たせ、反対に南側には大きな開口部が並ぶ。南側の日差しを充分に取り込み、且つ隣接する自然公園の樹々が景色として飛びこんでくる。鳥のさえずる声も絶え間ない。大きな開口に大きな吹抜けを持たせた空間、これがリビングとなり、ここに子供室や寝室の私室が面している。K邸ご家族のお人柄や、住まいへの想いそのものの空間がここに広がる。浴室やダイニングスペースからも外の景色を積極的に活かす。それぞれの専用空間が、絶妙な距離感を持って連なっていく。「ここに住みたい」造り手としても、心底そう思う家である。

この大空間を支える、構造体。家族の和やかな暮らしを見守る、しっかりとした構造が見える事で、より強い安心感が生まれる。「支える」そんな言葉が浮かんでくる。家族を支える、構造を支える、暮らしを支える。しっかりと、ご家族のこれからを見守っていくことであろう。

吹抜けより南を見る

吹抜けより南を見る

(黒坂)