弘前W邸も、造作工事に入っている。屋根裏の収納なども入れると90坪程の建物なので、その部屋によって進行状況も違うのであるが、だいぶ部屋としての体裁は整ってきている。今回は天井の紹介を。
もう、すでにお馴染みの杉板張りである。いつもと違うのは、施主奥様の御実家の山から伐り出された杉を使用している事だろう。天然乾燥させた木なので、赤身の艶がとても綺麗だ。上の写真は玄関の天井になる。玄関入って正面に飾り棚を設えているのだが、そこに何を飾ろうかと、先日の打ち合わせでディスカッションとなった。とにかくW邸ご夫妻との打合せはご夫妻共に、一つの事にトコトン意見を出し合うので、御一緒していると、とても楽しい。最終形の意匠をわざと伝えていない部分もあるのだが、それは徐々に姿を現してくる処を楽しんで貰おうと、意図しているものだ。
この写真はリビングの天井になる。当社では和室でこの根太天井(ねだてんじょう)にしているが、吹抜けの無いこの家で、梁を見せて且つ天井空間を確保するために、この天井とした。3尺と6尺でキッチリと梁を配置するために、2階の部屋の間仕切りには大変苦労した部分でもあるが、これは施主も知らない部分で、この記事を読んだ折に初めて気付くだろう。ここは造り付けの家具と、建具が勝負となる空間でもある。
最後は2階のホールだ。これもお馴染みの登り梁に杉板を張る。この家でも最も複雑な構成を持つ空間で、ロフトと御主人の書斎、娘さんのためのホールと、立体構成が複雑で図面を見ても難解で、とても分かりづらく、各職方にも苦労を掛けたが、現場での説明で理解を得た。ここがどういう使われ方をしていくのか、お引き渡し後が楽しみだ。
(設計:黒坂)