今、岩手県盛岡市でも現場が動いている。杉の柱に赤松の八角の梁組み、ケヤキの大黒柱。しかし写真の棟の辺りを見ても分かるように、これまで紹介してきた建築よりは数段、複雑な構造を持っている。軒へと伸びる八角の梁と桁との取り合いも見事だ。ここらは、現場の進捗と共に披露していきたい。
「5年です。」施主である御主人に伺った年数だ。家を建てようと思ってから、今に至る年数、それが5年に及ぶ。岩手県のみならず、方々の住宅展示場を巡って3年。その3年目に当社のショールームを訪れ、その後に当社展示場に何度も足をお運び頂いている。御夫婦とその子供さん達。物静かな印象であるが、建築を見る目は熱心であった。決して「家を建てたいんだ」等とはおっしゃらず、展示場としてでなく、木造建築として熱い視線を注がれていたのが印象的であった。
先日、御夫婦と2時間程語らう時間を頂いた。「黒坂さんでしたね、初めてショールームに行った時に、案内して下さったのは」正直、その後の展示場でお会いして話した事は記憶に留めていたが、一番初めにショールームでお会いした事は失念していた。その非礼をお詫びしながら、記憶を辿り当時を思い出す。ショールームの案内もそこそこに、展示場をご案内した記憶が蘇る。
この現場は、監督が東京S邸を担当した月舘、営業で中村がフォローしている。「大山さんの社員さんは、建築の事をホント嬉しそうに話しますね」と御主人が言っておられた。これは本当に嬉しい。意識している訳でないが、木の建築の事になると、やはり嬉しく心弾むような感覚がある。同じ様な事を以前言われた事がある。木の家ネットワークの三上氏から「大山さんの所と他社さんの違いの一番は、建築を楽しそうに語る処」と。
そんなエピソードを織り交ぜながら、盛岡K邸を紹介していく。
(黒坂)