八戸市田向(たむかい)地区にある、「技が支える木の住まい」竣工から一年、施主の御好意により展示場としてお借りしてきたが、3月いっぱいで正式にお引き渡しする。ご来場頂いた、多数の皆様方に厚く御礼申し上げます。
施主の図面打合せから丸太探し、建築確認を経ての真冬の着工、そして完成。構造見学会や展示会など、施主の御好意による一年間の借り受け。まして二年連続で「あおもり産木造住宅コンテスト」最優秀賞受賞など、関わったこの丸二年の月日も良い思い出になっている。コンテストの現場審査の日に、翌日まで全く無かった雪が夜半からの大雪に見舞われ、積雪50センチ以上に。当日に慌てての除雪や、先月などこの家の中でラジオの生放送もした。貴重な体験もさせて頂いたが、これもこの建築のおかげである。
展示会や写真撮影など、早朝から日が暮れるまで、この家の中に居るのだが、大きな窓から差し込む日差しや景色に季節を感じる。川沿いの満開の桜、秋の紅葉、今の時期では雪景色に、白鳥が飛ぶ姿が印象的だ。東北のこの辺では壁の内側ばかりを考える家が多いが、意識的に外に繋がる建築のこの気持ち良さ。住宅は設備や断熱の性能値だけでは語れない所以であろう。
お引き渡しの前に、手直しと外構工事で残していた部分を完成させ、正式なお引き渡しとなる。どういった生活がこの家で育まれていくのか、楽しみなところだ。桜の頃には全工事完了するだろうか。その折にはまた御挨拶に伺いたいと思う。
最後に、施主であるT様、工事関係者、また各職人、そしてご来場頂いた皆様方に心より御礼申し上げます。
(黒坂)